営業アシスタント
の
高橋さん
(
22歳
)
営業アシスタント
の
鈴木さん
(
24歳
)
代表取締役
の
伊藤社長
(
45歳
)

「社内の雰囲気がなんとなく悪い気がするが、実態がつかめない」
経営者と現場の距離が少しずつ離れ始め、一人ひとりの顔色を直接伺うのが難しくなってきた頃、多くの経営者が直面するのが「人間関係」という見えないリスクです。
特に、ハラスメントや人間関係のもつれに起因する若手社員の離脱は、対応を誤れば連鎖的な退職や訴訟リスクにも発展しかねません。
今回は、あるベンチャー企業(WEBサービス・コンサルティング業)で起きた「人間関係に起因する無断欠勤」の事例をもとに、デリケートな問題を解決し、組織の心理的安全性を高めるための**「対話の記録」**の重要性についてご紹介します。
【事例】「行きたくない…」期待の若手アシスタントを追い詰めた"見えない壁"
B社は、急成長中のWEBサービス企業です。
ある日、営業アシスタントの高橋さん(仮名・22歳)が、何の連絡もなく出社しませんでした。
「最近の若い子は…」と片付けるのは簡単です。しかし、少数精鋭で回している組織において、一人の突然の離脱は周囲への業務負荷に直結し、組織全体の士気に関わります。
伊藤社長(45歳)は、高橋さんの同僚である鈴木さん(24歳)が異様に心配している様子を見て、直感しました。
「これは単なるサボりではない。社内に何か原因があるのではないか?」
初動で「事実」を固定し、感情論の入る隙間をなくす
伊藤社長が最初に行ったのは、憶測で動くことではなく、「クラウド型リスク管理ツール(MONTAI)」への事実の記録でした。
「XX月XX日 9:00 無断欠勤を確認」
「同僚の鈴木さんより、最近様子がおかしかったとの報告あり」
まず「無断欠勤」という客観的な事実を記録する。
これにより、万が一の懲戒や法的対応が必要になった場合のリスクヘッジを行いつつ、冷静な課題解決のスタートラインに立ちました。
「密室の対話」を「公的な記録」に変え、公平性を担保する
その後、ようやく電話がつながり、伊藤社長は高橋さんと直接面談を行いました。
そこで語られたのは、特定の先輩社員との関係性による精神的な疲弊でした。
こうした人間関係のトラブルは、「言った言わない」の水掛け論になりがちです。また、組織階層ができ始めた企業では、被害者が「どうせ会社は先輩(や上司)をかばう」と諦めてしまうことも少なくありません。
伊藤社長は、彼女の話に真摯に耳を傾けながら、その**「対話の内容」をその場でツールに記録**していきました。
単なるメモではなく、会社としての公式な記録に残す。
この行為が、「あなたの声を会社は正式に受け止めた」という何よりのメッセージとなりました。
「君の悩みは、会社として解決すべき課題として記録した。私が責任を持って環境を改善する」
社長のこの言葉と行動が、高橋さんの不信感を払拭しました。
公平な「記録」が、組織全体の心理的安全性をつくる
後日、高橋さんは無事に職場復帰を果たしました。
会社側は記録に基づき、先輩社員への指導と配置転換を実施。一連の経緯と対応策もすべてMONTAIに蓄積されました。
この対応は、当事者以外にも大きな波及効果をもたらしました。
「この会社は、立場の弱い社員の声もちゃんと記録し、社長が動いてくれる」
その安心感は瞬く間に社内に広がり、B社では「隠し事をせず相談する」という文化が醸成されました。
もし、高橋さんの改善が見られず、厳しい処分が必要になったとしても、この一連の「指導と対話の記録」があれば、会社は感情論ではない毅然とした対応をとることができます。
まとめ:組織の拡大期こそ「対話」を記録せよ
組織が成長すればするほど、人間関係の歪みは経営者から見えにくくなります。
しかし、放置すればそれは組織を内部から腐らせる原因となります。
誰が何に悩み、会社はどう向き合ったか(対話)
問題に対して公平なジャッジを下したか(対応)
これらをブラックボックス化せず、透明性を持って「記録」に残すこと。
今回のB社の事例は、デリケートな人間関係の問題こそ、「客観的な記録」が社員の心を守り、同時に会社を守るための最も堅実な「礎(いしずえ)」となることを教えてくれています。
労務トラブル事例


