営業事務
の
田中さん
(
30歳
)
営業部部長
の
池田さん
(
50歳
)

「自由な社風」と「規律の欠如」は紙一重です。
組織が拡大し、創業期のような阿吽の呼吸が通用しなくなってくると、一部の社員による私語やスマホ利用といった「小さな緩み」が目立ち始めます。
経営者や管理職からすれば「目くじらを立てるほどのことでもないか…」と躊躇しがちですが、現場の真面目な社員にとって、それは「不公平感」という猛毒となり、組織のモチベーションを確実に殺していきます。
今回は、ある広告代理店(営業部)で起きた「勤務態度」にまつわる事例をもとに、職場の規律と公平性を守るための**「事実の記録」**の効用についてご紹介します。
【事例】注意すれば「パワハラ」と言われそうで…管理職の葛藤
広告代理店E社の営業部での出来事です。
営業事務の田中さん(仮名・30歳)の勤務態度が、チームの懸案事項となっていました。
業務と無関係な長時間の雑談、頻繁なスマートフォンでのSNSチェック。
一つひとつは些細なことかもしれません。しかし、繁忙期に彼女の私語が聞こえてくるたび、黙々と業務をこなす他のメンバーの中には「なぜ自分たちだけ…」「あの人だけズルい」という澱んだ空気が溜まっていました。
営業部長(50歳)も状況は把握していましたが、「うるさいと注意して、パワハラだと騒がれたら面倒だ」という懸念から、踏み込んだ指導ができずにいました。
「主観」で叱るのではなく、「事実」を淡々と積み上げる
部長が決めたのは、感情的に注意することではなく、「クラウド型リスク管理ツール(MONTAI)」へ客観的な事実を記録することでした。
「XX月XX日 14:15-14:40 業務外の雑談(25分間)」
「XX月XX日 15:00 自席にて私用スマートフォンの操作(約10分間)」
「仕事に集中していない」という主観的な評価ではなく、誰が見ても否定できない「行動の事実」だけを記録する。
これにより、指導の軸は「部長の機嫌」から「客観的なデータ」へとシフトしました。
事実を鏡のように見せ、"自分事"として認識させる
記録が蓄積された段階で、部長は田中さんと面談を行いました。
「最近、たるんでるぞ」といった抽象的な言葉は使いません。MONTAIの画面を示し、記録された日時と具体的な行動事実を提示しました。
客観的なデータを突きつけられた田中さんは、「そんなつもりはなかった」と言い訳をすることなく、自分の行動がどれほど頻繁で、周囲の業務を阻害していたかを初めて"自分事"として認識しました。
「あなたを責めたいわけではない。ただ、チームとしてこの状況は看過できない」
事実に基づく静かな指摘は、本人の反省を促し、その場で具体的な改善の約束が交わされました。もちろん、このプロセスもMONTAIに記録されます。
公平性の回復が、チームの一体感を取り戻す
指導後、田中さんの勤務態度は劇的に改善されました。
しかし、最大の成果は田中さんの変化だけではありません。周囲の社員たちが「会社はズルを許さない」「真面目にやる人が報われる」という安心感を得たことです。
「あの人だけズルい」という不公平感が解消されたことで、チームには再び健全な一体感が戻り、生産性も向上しました。
まとめ:規律は「公平な記録」の上に宿る
組織が大きくなれば、全員を同じ熱量で管理することは難しくなります。
しかし、だからこそ「ルールは全員に公平に適用される」という信頼が不可欠です。
曖昧な言動を放置せず、事実として記録する
感情ではなく、記録に基づいて是正を促す
これらを徹底することで、記録は単なる監視ではなく、真面目な社員が損をしないための**「公平性」を担保し、組織の規律を守るための最も堅実な「礎(いしずえ)」**となります。
今回のE社の事例は、公平な記録こそが、社員の納得感と組織の活力を生む源泉であることを教えてくれています。
労務トラブル事例


